若い読者のための短編小説案内:村上春樹
村上春樹による日本文学の案内書、と片づけるのはもったいない。文庫化にあたって書き下ろされた新しい前書き「僕にとっての短編小説」が興味深い。2004年8月の日付がついている。2004年9月には長編小説・アフターダークを上梓してるので、おそらくアフターダーク完成直後に書かれたものだろう。
氏は短編小説の魅力について語ると同時に、「短編小説は実験場なんです」と読者に明言する。まるでベストセラー作家が短編小説を書くノウハウを種明かしてるようにも見える。これには驚いた。種明かしは配慮と敬愛に満ちていて、かつ小さな自問や迷いすら、文章の形に変えて語り尽くしている(ように見える)。
小説家の才能に触れたような気分になる生々しいエッセイの次に本編が始まるのですが、本編は読み手としての想像が好き勝手に飛躍していて、エッセイとのギャップが激しくて笑える一冊。
肩の力を抜きたい時に一服できる本。
Posted at 2005/03/21 (Mon) 22:38 in 本 | WriteBacks (0)
