「この人、痴漢!」と言われたら 粟野仁雄
副題は「冤罪はある日突然あなたを襲う」。冤罪が起こる仕組みと、もしも誤認逮捕されそうになったらどうするか、について書かれた本。性犯罪の冤罪だけでなく、交通事故、窃盗、殺人事件の冤罪も取り上げてます。あと裁判員制度の問題点にも少々触れている。
第1章は冤罪事件の概要と、捜査と裁判の行方。
誤認逮捕で人生を変えられてしまった人へのインタビューが中心。
第2章は警察、検察、裁判、マスコミの体質批判。
第3章は冤罪で逮捕されないための知識と実践対策。
第4章は冤罪を防ぐ視点から見た裁判員制度の問題点の指摘など。
第1章〜2章を読む限り「誤認逮捕は警察で身の潔白を説明すればわかってもらえるはず」という思い込みのようなものが崩れた。警察は逮捕した人物は絶対有罪だと決めつけてかかり、そのための証拠はねつ造してでも裁判に提出し、裁判官は警察の味方になって証拠の正当性を認めようとする…という冤罪事件が成り立つ図式が説明されてます。
そこで「逮捕されない・させずに冤罪から身を守る」ための、不当逮捕をさせないための保身方法を第3章で紹介しています。題材は痴漢冤罪だけど、万引きなど他の犯罪でも応用できると思う。それだけに本のタイトルだけ見た女性が、自分には関係ないよ!とスルーしてしまうのは惜しい。
電車の中で痴漢扱いされた時、話し合うつもりで駅の事務室に行くのはだめだそうです。その場に警察官がいなくても、痴漢被害者に駅員の元へ連れられたら、その時点で「私人逮捕」による現行犯逮捕が成立。これこわい。
刑事訴訟法は警官や公務員でない一般市民による逮捕を認めています。話し合いのつもりで、痴漢被害者の言うことを聞いて場所を移動するのは危険。自分は痴漢をしてないのに痴漢扱いされたら、その場で冷静に話し合うのが大切。
私人逮捕をさせてしまうと「私が犯罪をしました」と認めてしまうことになるので、無実の罪で私人逮捕をさせないために何をすべきか?という視点で、犯罪者として見つめる被害者と駅員への対応方法が紹介されてます。
もしも逮捕されてしまった場合の対応法や、家や会社に警察官が来た時のシミュレーションも役に立つ。冷やかし気分でもいいから一度は読んでみて。
・「この人、痴漢!」と言われたら 冤罪はある日突然あなたを襲う (中公新書ラクレ)
Posted at 2009/05/30 (Sat) 16:59 in 本 | WriteBacks (2)
