「自分」から自由になる沈黙入門:小池龍之介
久しぶりな本の感想。「自分」から自由になる沈黙入門。
この本で語られる「沈黙」は、人前で口をつぐむ態度にとどまらず、口がおしゃべりになる元凶・自己顕示欲の濃度を薄くしましょうよ、という意味です。
著者の小池龍之介さんは住職業の傍ら、家出空間というサイトでエッセイを公開したり、現代風味の精進料理と非日常空間をふるまうカフェを主催してた人。お寺や仏教と縁が薄い核家族家庭の若者との接触が多いせいか、主題の切り口に共感できるところが多いです。
例えば一章目「沈黙のススメ」では、大人も子供も学校も会社も「オンリーワンな私の価値を理解して欲しいのよねー」な空気に支配されてるけど、おしゃべりの中で自己主張をひけらかすのは美しくないし下品だ。という指摘をしてます。
それが伝わったからといって、誰が嬉しい気持ちになるわけでもない内容なら、そんな考えは葬ってしまえばいいだけの話であります。「本当に思っていること」を、相手に伝える必要なんかマッタクナイ。
引用元:「自分」から自由になる沈黙入門 32ページ
考えそのものを葬ってしまえ!というのはなげやりな主張ではないです。胸の奥に秘めた考えは、仏道に照らし合わせると時間が経つにつれて毒を放ってしまう法則を説明したり(業、カルマ)、毒をなかったことにするロジックを解説するなどしています。
本の後半は実際にありそうなシチュエーションを提示しながら、その解決法を紹介していきます。
「何かして差し上げたのに、感謝を返してもらえぬとき」のイライラをなくす方法。「相手に悪いことを言ってしまったかな、と気になり給ひて、会話の途中で気まづくなったとき。」の心の切り替え方、など。ここらへんの切り口は洒脱でほれぼれする。
まぁ、読んだ後「あの時あんなこと言わなければよかったなー」と後悔して落ち込むのですが、同じ後悔を繰り返さなければいいかと思い直したり、ぐっすり眠れる集中法を試して感動したり(出入息念) 、得られる情報の引き出しがたくさんあって長く楽しめる一冊。
年内には沈黙入門よりもう一歩踏み込んだ領域の本と、家出空間のブログで人気だった4コママンガの本が出るそうです。これもたのしみー。
Posted at 2008/05/31 (Sat) 22:58 in 本 | WriteBacks (0)





